自治体職員の読書ノート

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【785冊目】アービンジャー・インスティチュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2006/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自己啓発本なんてバカにしていたが、これは良かった。よくできている。

最近ちょくちょく拝見する読書ブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』の「スゴ本100」のレビューを読み、ずっと気になっていた本のひとつ(他にもこのサイトからは、「気になる本」を山ほど教えてもらった。謝謝)。

人のことより自分の頭のハエを追え、という説教文句があるが、本書はそのことを(ちょっと違うか)これ以上ないほど懇切丁寧に、メソッド化して教えてくれる本。中途半端に解説してしまうと意味がないくらい、そのインストラクションがよくできている。身近な体験をときほぐし、「ありがち」な疑問にきちんと対応し、そのプロセスで自分の中を掘り進むように認識が変容していく。人間関係の問題がどこにあったのか、それを解決するにはどうすればよいか。披露されるメソッドは魔法のように簡単だが、効果は絶大である。とっかかりの部分だけ書くと、最初の感情に逆らわないこと。最初の感情をごまかすと自己認識が歪み、自己認識が歪むと、それに合わせて他者の認識をも歪めてしまう。その状態を本書では「箱に入っている」という。脱出する方法はただひとつ、自分が「箱に入っている」ことを自覚すること。

読んでいると、なんだか禅の問答をロジカルに解説した本を読んでいる気がしてくる。それほどに、私の本書の読後感は、禅の公案に関する本を読んだ後の感じに近い。禅だけでなく、認識の転換、とらわれない自己といった本書の特徴は、妙に東洋思想に近いような気がするのだが、気のせいだろうか。

それにしても、本書はまさに「自分のことが書いてある」本だと思えた。どきっとした。だが、読み終えた後には本書に出会えたことを感謝する気持になれた。そういう本である。それにしても、一昔前の日本人は、こういうことを「当然の常識」としてわかっていたんだろうな、と思えてならない。