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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【770・771冊目】町田康『爆発道祖神』『東京飄然』

笑い・遊び・ゆるさ

爆発道祖神

爆発道祖神

東京飄然 (中公文庫)

東京飄然 (中公文庫)

町田康は面白い。

どこがどう面白いのか説明しづらいのだが、とにかくこの疾走感というか、トリップ感がたまらない。それは小説でもエッセイでも変わらない。強烈な自意識が日常のごくごく細部に反応し、そこから引き出されるのは機関銃のような言葉の連打。しかもそれが、叩きつけるというよりは、ねっとりと絡め捕るように読み手に迫ってくる。そして、いったん絡め捕られたらもう逃げられない。読者は町田康と一緒になって路地裏をさまよっては奇声を上げ、ガス湯沸かし器の故障に慨嘆し、串カツを求めて梅田や新橋や銀座を彷徨することになる。

この2冊はいずれも町田康の写真+エッセイ集。『爆発道祖神』はすべてのエッセイに写真がついており、写真とエッセイが絶妙の対応をみせている(どう絶妙かは本書を読んでいただくほかない)。『東京飄然』は、文字通り東京を日帰りで「飄然」としようという趣旨というか意図のもとに書かれている。この「飄然」という、「旅行」でも「散歩」でも「紀行」でもないあたりが町田康らしい。

比較すると『爆発道祖神』のほうが「濃い」。文章がパンクロックしている。『東京飄然』はそれに比べるとおとなしいが、実はなかなか人を食った内容にはなっている。思わず吹き出してしまうところが多かったのは『東京飄然』。いずれにせよ、この文章感覚、この細部への執拗な視線、私小説的なようでいてどんどん違う方向にトリップしていく酩酊感、やはり町田康は面白い。