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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【415冊目】ルイス・サッカー「穴」

穴  HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)

主人公のスタンリーはよわっちい太っちょの少年。ある時、靴泥棒のぬれぎぬをかけられ、「グリーン・レイク・キャンプ」に送り込まれる。そこでは毎日、「人格形成」のため、と称して穴を掘らされるのだが、実は本当の目的があって・・・・・・。

カテゴリとしては児童文学に入るのかもしれないが、大人が読んでも十分に面白い。魅力的でどこか抜けている登場人物の妙、一見単調と思えるが読み出すとやめられないストーリー展開の巧さ、そして、最初は受身で弱々しかったスタンリーの成長譚としても読み応えがある。全米で350万部を売り上げたというのもうなずける、児童文学の王道を行く、完璧と言ってよいほどの見事な作品である。

中でも、いなくなった「ゼロ」を追ってキャンプを抜け出し、サバイバルをするあたりからのスタンリーの変貌ぶりは目を見張るものがある。人が変わる、というのはこういうことか、という感じ。ラストは少々あっけなく、すっきりしない部分もなくはないが、どうやら続編があるらしいのでそれに期待したいところ。とにかく、特にすべての弱虫の太っちょ少年には一読をお勧めしたい、勇気と元気が湧いてくる良質の小説である。