自治体職員の読書ノート

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【413冊目】M・J・アドラー&C・V.ドーレン「本を読む本」

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

「読書法」を語る本は数あるが、本書はその中でも古典というべき一冊であろう。

本書における読書法は大きく4段階ある。初級読書は、いわば「ただ読むだけ」の読書法であり、読書法以前といえるだろう。第二段階は「点検読書」で、これはいわば「下読み」に類する。高速で一冊の本全体をチェックして、何がどのように書いてある本か、次なる段階である「分析読書」に進む価値のある本か、を把握する読み方である。

本書の中核を占めているのは、第三段階の「分析読書」である。ここで本書は事実上はじめて、読書というものの核心に降り立っていく。意味の把握から著者の主張を読み取ること、さらに批評と読書との関係についても考察されている。ここでは、(たとえが悪いかもしれないが)犬が一本の骨をとことんしゃぶりつくすように、一冊の本をとことんしゃぶりつくし、理解し尽すことの重要性と、その方法論が余すところなく示されている。

もちろん、すべての読書が分析読書でなければならない、というわけではない。むしろ分析読書に値する本はごくわずかであり、先ほども書いたように、第二段階である「点検読書」は、いわばこの第三段階への「ふるい」としての役割を果たしているのである。しかし、少数の「読むに値する本」に出会ったならば、この分析読書の出番、というわけである。

ちなみに第4段階は「シントピカル読書」。これは複数の本を比較対照しつつ読むことであるが、それほどつっこんだ説明はなされていない。ただ、核になる本さえ見つかれば、類書を集中的に読むことで格段に理解が深まることは経験上も明らかであろう。

正直な感想を言うと、「分析読書」はかなり肩の凝る本の読み方である。確かに私も「この本には本腰を入れて取り組もう」と思うような一冊にめぐり合った時には、近い読み方をすることもあるが、そのために点検読書を繰り返して本を選別しようとは思わない。むしろものぐさな私としては、そのような本に出会うことを心待ちにしながらも、その時の気分とその本の気分の中でゆらゆら浮かぶようにして本を楽しむような読み方をしていきたい。