自治体職員の読書ノート

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【369冊目】構想日本編著「入門 行政の事業仕分け」

入門 行政の「事業仕分け」―「現場」発!行財政改革の切り札

入門 行政の「事業仕分け」―「現場」発!行財政改革の切り札

もうだいぶ経ってしまったが、kei-zuさんが挙げておられた本。なかなか読む時間が取れなかったのだが、読み始めたらあっという間であった。

まずつくりが良くできている。見開き2ページでひとつのトピックが完結し、原則として右側に文章、左側に図表やイラスト、という構成がビジュアル的に実に分かりやすい。説明文もきわめて明瞭。何が重要か、何が言いたいかが寸分の狂いもなく書かれている。

内容は文字通り「事業仕分け」の本である。第三者の評価や議論を通じて行政の事業を「廃止」「民営化」「国(あるいは都道府県)に委譲」などに分けていくのだが、ポイントはその議論を住民に公開すること。本書によると、これによって市町村では事業金額ベースでおよそ3割の事業が「廃止・民営化」「他(国・県など)で実施」となるという。

確かに、役所のやっている事業には、大義名分としては立派だが個別事業ベースで見ると効果が疑わしいものや、国などの補助金があるからやっているようなもの、惰性や首長の思いつきや既得権益層の存在が事業の「理由」になってしまっている例などは決して少なくない。しかし、これを事業担当者レベルで「切る」ことは至難である。本書で行われるような事業仕分けは、こうしたグレーな事業をまずは強制的に公開での議論の俎上に載せてしまうところに意義(とおそろしさ)がある。首長の肝いりだろうが有力議員のてこ入れだろうが、そこではそんなものは何の意味も持たないのだ。

また、この事業の実施自体が事業を担当する職員にとっての「研修」効果をもつ、という点も見逃せない。担当者としていわばルーチンワークとして事業を担当する自治体職員の多くは、「事業の進め方」には関心をもっても、「そもそもなぜその事業が必要か」とはなかなか自問しづらいものである。ところが、事業仕分けではそのことを第三者や住民に的確に説明し、納得してもらわなければならない(議論の例が出ているが、職員にとってはまさに冷や汗モノの中身である)。いやおうなくその事業を本質面から考え、整理しなければならないのであるから、仮に存続になったとしても、その事業へのアプローチは大きく変わってくることだろう。