自治体職員の読書ノート

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【348冊目】佐久間賢「交渉力入門」


交渉力入門 (日経文庫)

交渉力入門 (日経文庫)

ビジネスの現場ではもちろん、行政の現場にあっても、さまざまな局面で「交渉」のスキルが必要となる。窓口での住民対応、業者とのやり取り、関係機関との折衝、庁内の部署間調整、さらには上司とのやり取り・・・・・・。しかし、私自身を含めて、交渉に不得手な人ほど、「交渉」というと得てして「勝ち負け」や「駆け引き」、ディベートのようなものを連想してしまいがちである。

しかし、本書で提示されているのはむしろ「win-win」の、言い換えればノンゼロサムプラス・サム)・ゲームとしての交渉である。したがって、(一方的に相手を負かすのではなく)双方の満足を最大化することに重点を置き、そのためのコミュニケーションとして交渉をとらえ、複雑で流動的な交渉の局面を整理し、図式化したうえでその本質に迫るものとなっている。

交渉の基本的な構造、「ガス抜き」の効用、交渉に必要なリーダーシップのあり方など、重要なポイントが非常に分かりやすく示されている。特に知っておいて損はないと思ったのが、相手を説得するための「ノーマティブ手法」という次のような説明手法。
 ・解決すべき問題点を明確にする。
 ・その問題点を解決するための代替案を可能な限り用意する。
 ・その代替案について、長所と短所を分けて説明する。
 ・結論として、代替案の中から問題を解決するための最良の案を選び、その理由を説明する。
の4段階からなる手法であるが、これは簡単そうに見えるが、知らないとなかなか自分で発想できるものではないだろう。むしろわれわれ素人は、ついつい自分の希望する結論をいきなり相手に押し付けてしまうことが多い(そして相手の反発を呼び、失敗に終わる)。代替案を並べてひとつひとつ説明するなど、一見すると手間はかかりそうだが、確かに説得の効果を考えればこれが一番合理的だし、相手に対する配慮も行き届いている。ちなみに、本書によれば欧米のビジネスにおいてはこれが一般的な「型」だそうである。