自治体職員の読書ノート

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【324冊目】アミタイ・エツィオーニ「ネクスト 善き社会への道」

ネクスト―善き社会への道

ネクスト―善き社会への道

保守と新自由主義、リバータリアニズム。あるいはそれと対極にあるリベラリズムの道。いわゆる「右」と「左」の対立構造の中にあって、そのいずれにも与さない「中道主義」による公共のあり方を提示する一冊。

そのために著者が重視するのが、コミュニティである。著者は、「政府」「市場」「コミュニティ」の三要素のバランスのなかに、あるべき公共の姿を求めている。むろん、著者はコミュニティ自体を万能視するわけではない。しかし、これまでの「政府」「市場」の二項対立の中に「コミュニティ」という要素を加えることで、政府や市場自体もその欠点が補完され、全体として公共政策の取りうる幅が広がることになる。

本書の書かれた背景には、ブッシュとゴアの大統領選がある。アメリカの共和党と民主党の対立構造は、いわば本書で提示され、克服が目指されている保守とリベラルの対立そのものである。従って本書は、アメリカ自体が陥っている政治的な逼塞状況の打開に向けた提言であるともいえる。

抽象的な論議だけではなく、具体的な解決策が提示されているところも本書の特徴。その内容がストレートに日本に妥当するものではないだろうが、リベラリズムが衰退し、安易なナショナリズムとリバータリアニズムが幅を利かせている昨今の日本にあっても、参考になる点は多いように思われる。