自治体職員の読書ノート

読むために書くのか、書くために読むのか。

【315冊目】村尾信尚監修・澤昭裕編集・WHY NOTメンバー著「無名戦士たちの行政改革」

無名戦士たちの行政改革―WHY NOTの風

無名戦士たちの行政改革―WHY NOTの風

WHY NOTは、本書監修者の村尾氏が創立した「行政改革推進ネットワーク」。本書は、そのメンバーがそれぞれの現場から発信する、行政改革の現場レポートである。

現役の公務員からジャーナリスト、NPOまで、多彩なメンバーが執筆しており、内容の幅が非常に広い。中でも面白いのはやはり、同じ公務員によるものである。北川知事が交代した後の、いわば「改革者以後」の三重県政を扱った第2章、住民の変化に着目しつつ、行政内部の調整の難しさを述懐する第3章、現場重視をひたすら訴える第4章。特に、第4章では公務員に求められる能力として、地域の現場の声を引き出して政策の言葉に直していく「編集力」を挙げているが、これにははっとさせられた。地方自治地方分権が叫ばれる中、自前で政策を企画、立案する能力が求められることが多いが、たしかに、むしろ重要なのは、地域の住民や関係者の声を引き出し、政策化していくことのほうなのである。

また、後半では選挙をめぐる問題を取り上げた第8章が印象的だった。行政改革に最も必要なのはトップのリーダーシップであるとよく言われるが、そのトップを決めるのは有権者による選挙である。したがって選挙はいわば行政改革のスタートラインであるともいえるのだが、現状の公職選挙法がこうした政策本位の選挙を、むしろ妨げる方向にしか作用していないことがよく分かる。もちろん行政改革がすべてではないが、候補者のことを良く分からせないままで投票させようという選挙制度は、およそ民主主義国家としてまともなものとはいえないのではないだろうか。