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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【279冊目】白川道「朽ちた花びら」

前に読んだ「病葉流れて」の続編。前作は、大学に入学したばかりの梨田が博打の世界に溺れていくさまを描いていたが、本書では、裏にも染まりきれず、表の世界にも抵抗を感じる梨田が、揺れ動きつつ卒業を迎えるまでを追っている。

前作が、ある意味一直線にアウトローの世界にのめりこんでいく過程を描いていたのに対して、本書の梨田はとにかく迷い、後悔し、中途半端な生き様をさらしている。そのあたりが、前作に比べてアウトロー小説としてはキレが悪いが、青春小説としてみればなかなか味わいがある。青春とは別に学園やロマンスがなければならないわけではなく、おのれの未熟さにもだえ苦しみ、ひたむきに、やみくもに突き進むシュトルム・ウント・ドランクのありようなのであって、その意味で言えば本書はノスタルジックな味わいさえ感じられる青春小説といえる。これが一直線に裏の世界にどっぷり染まっていくとなれば、高度成長期の日本を舞台とした珠玉の暗黒小説となったかもしれない。結果としてみれば、梨田は裏にも表にもつかず離れず、「姫子」の言うとおりまったく中途半端で読んでいてイライラしてくるのだが、しかし読み終わってみると、その中途半端さが、あり方こそ異なるが自分の20歳ころのあり方と妙に重なり合ってくるのである。

もうひとつの見せ場である麻雀のシーンもなかなか深く、コクのある中身となっている。不ヅキから抜け出せずもがく梨田の苦しみが、具体的な局面を通じて痛いほど迫ってくる。思えば麻雀なんて、贔屓目に見たって楽しさ1割、苦しみ9割くらいなのであり、その「苦しみ」を正面から描いているところが面白い。