自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【264冊目】勝間和代「効率が10倍アップする新・知的生産術」

いわゆるノウハウ系のビジネス書には、これまであまり食指が動いたことがなく、読んでみても、あまりの内容の浅さに途中で放り投げることが多かったように思う。ところが本書は、書店で平積みになっているのを見た時点で奇妙に惹きつけられ、手にとってパラパラと眺めた時点で買うことを即決していた。こういうことは私の場合珍しい。そして、こういうふうに買った本がハズレだったことはほとんどないのだが、本書も「当たり」の一冊だった。

テーマは一貫して「知的生産術」の向上にある。そのためのノウハウがインプット面、アウトプット面にわたって書かれているのだが、「知」を獲得するための本質的なスタンスから具体的な「ハック」系のノウハウまでが、デジタル・アナログ両方のアプローチで、きっちりと体系を立ててバランスよく示されている。特に、インプット面で「実体験」「他者体験」「良書」を三大情報源として挙げ、マスメディア情報に頼りすぎないよう指摘するあたり、本質的で地に足の着いた認識の深さを感じた。気になる読書法は、とにかくスピードに重点を置くこと、「数をあたる」ことで良書に巡り合う確率を増やすことに尽きるように思われる。

また、アウトプットについてのノウハウが充実しているのも本書の特徴である。何より、本書の構成自体がすぐれたアウトプットのお手本になっている。個人的には、こういう日記をつけていることもあり、ブログを通じたアウトプットのノウハウが非常に参考になった。

他にも、本書にはすぐ役に立つノウハウから「知的生産」に対する本質に関わる指摘までがぎっしりつまった本。お勧め書籍やオーディオブック、IT機器などのリストも充実したお買い得の1冊である。