自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【200冊目】北川正恭「生活者起点の『行政革命』」

生活者起点の「行政革命」

生活者起点の「行政革命」

短いが非常に印象に残る部分の多い本であった。著者は「生活者起点」をキーワードに、従来の凝り固まった県庁文化、役人文化を徹底して切り崩してきたが、その際に重視したのが職員との「対話」(ダイアローグ)であったという。そして徹底した議論。著者はその繰り返しから職員の意識改革を図り、議会や労組も巻き込んで、県民を主体とした発想からの先進的施策を次々と展開した。その硬軟織り交ぜた手腕はまさに凄腕の改革家である。正直、こうしたリーダーを戴くことのできた三重県庁がうらやましいという気持ちもなくはない。しかしそれよりも、職員である自分自身の意識改革が重要であることが再認識できたのはありがたかった。トップの姿勢も重要だが、職員の高い意識と能力こそが「行政革命」の出発点であり、原動力でもあるという事実の重さを感じる。