自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【187冊目】小山勉「トクヴィル」

トクヴィル―民主主義の三つの学校 (ちくま学芸文庫)

トクヴィル―民主主義の三つの学校 (ちくま学芸文庫)

トクヴィルの思想をその著作から読み取り、トクヴィルの政治論・行政論をコンパクトに紹介する本。アメリカ旅行の経験を踏まえ、当地で根付きつつある「下からの」民主主義を評価し、そのための重要な仕組みとして「地方自治」「陪審制」「アソシアシオン(団体)」の「3種の神器」を通しての市民への「民主主義のトレーニング」を説く。その背景にあるのは、私人が私利を追求する一方、公益への無関心がはびこり、その結果、「後見的政府」として専制状態が出現することへの危機感である。その危機感は、そっくりそのまま現代の日本にも感じることができるだろう。