自治体職員の読書ノート

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【151冊目】行政対象暴力問題研究会「行政対象暴力Q&A」

行政対象暴力Q&A

行政対象暴力Q&A

地震ではないが、役所に「忘れた頃にやってくる」のが、暴力団やエセ右翼、エセ同和などの政治団体の連中である。以前には鹿沼市で職員が殺害された事件があった。最近では前長崎市長の銃撃事件が記憶に新しいところである。後者は、市道上の事故による損害賠償請求がもともとの事案と聞いている。首長の殺害まで至ることはめったにないが、同じような事例はどこの自治体でも1件や2件抱えているのではないか。この事件を知って背筋が寒くなった自治体関係者は少なくないと思われる。

こうした行政対象暴力がはびこるひとつの原因が、われわれ職員の無知と事なかれ主義であることは、前から言われていることである。都合の悪いことは表沙汰にしないようにしようとか、トラブルを避けて穏便に事を収めようとする姿勢こそが彼らの思う壺なのだ。いわば行政対象暴力は、こうした行政側の悪癖を逆手にとり、そこを突くことで成り立っているといえる。

とはいっても、素人の職員が不当要求のプロである彼らとまともに対峙するにはそれなりの備えがいる。本書はその備えを、具体的な事例に基づいて示してくれている。中には一問一答式の「想定質問」もあり、読み物としてもかなり面白い。自分だったらどう対応するだろうかとシミュレーションしながら読むと良いだろう。

もちろんこうした対応をすべて頭に入れておくことは難しいだろうが、大切なのはこれらに共通する基本的な心構えであり、トラブル対応の基本的な姿勢の問題である。原則を曲げない、情報を共有して組織として事に当たる、外部には出向かない、裁判所を活用する(裁判を敬遠しない)、警察などの関係機関と連携するなど、当たり前といえば当たり前なのだが、なにしろ日常的に起こることではないため、きちんと認識をもっておかないと窓口で怒鳴られた時にあわくって変なことを口走ってしまったりして、致命的に対応を誤ることになる。

いずれにせよ行政対象暴力自体はどの自治体にとっても他人事ではないのであり、「いつかやってくる」天災のようなものである。そのときの備えとして、自分の身を守るためにも通読しておくべき本である。