自治体職員の読書ノート

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【80冊目】NTTデ−タ・コミュニティ・プロデュ−ス「コミュニティ・イノベーション」

コミュニティ・イノベーション―魅力と活力のある地域をデザインする

コミュニティ・イノベーション―魅力と活力のある地域をデザインする

地域活性化の基本的な考え方やノウハウを、主として住民に向けて提示した本。さまざまな地域の実例、民間企業のノウハウ、諸外国の事例や研究等をバランス良く取り入れ、図表をうまく利用することで、非常に分かりやすい内容となっている。上質なプレゼンテーションを受けているような気分。

本書で提示されている内容自体は、きわめてまっとうで地道なものである。つまり、地域活性化のためにはまず自分の地域を深く知り、そこから「そこにしかない」ものを見つけ出すことからはじめなければならない。しかし、地域の伝統や風土を活用するには、単にそれまでどおりのやり方を続けるだけでは足りない。むしろ積極的に新たな手法を取り入れ、外部の発想や人材を導入すること、すなわちイノベーション(創造的破壊)が必要なのである。この「地域資源の再発見」と「新しい活用方法」を組み合わせる点が地域活性化の秘訣であるらしい。逆に言えば、他の地域でうまくいったもの、目新しいものをそのまま持ち込んでも(そういう事例は多いようだが)地域活性化にはなかなか結びつかないということだ。

もうひとつ、本書で強調されているのは、単に行政に要望するだけの住民では駄目だということだ。NPO、インターネットなど、住民が自ら動くための環境はかなり整いつつあり、これらを活用して住民自らが活動する時代がすでに到来している。これは言い換えれば、行政が住民に「見限られる」時代が来たということでもある。見限られないために何ができるか、われわれも虚心になって自らに問い直さなければならないだろう。