【58冊目】逢坂誠二「町長室日記」
町長室日記―逢坂誠二の眼 (ネプチューンノンフィクションシリーズ)
- 作者: 逢坂誠二
- 出版社/メーカー: 柏艪舎
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
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35歳の若さで町長に当選し、「ニセコ町まちづくり基本条例」の制定など、ニセコを全国有数の先進自治体に押し上げた著者が職員にあてて日々綴った文章をセレクトして収録した本。膨大な量の日記から、主として時事問題を中心に選んだとのこと。
まず驚かされるのが、その関心の対象の広さと、どんな問題に対しても自分のことばで考えを語っていること。後者は当たり前とも思えるのだが、町長という公的な立場にありながら、これだけはっきりと(しかも、きわめてクリアに分かりやすく)自分自身の考えを示すことは、誰にでもできることではないと思う。誰かの書いたお仕着せの言葉ではなく、自分の言葉でこれだけ職員に語りかけてくれる首長はそういないのではないか。ニセコ町の職員は幸せだ。
また、本書の大きなメリットとして、逢坂氏の眼を通じて、ここ数年の世界や日本の情勢、地方自治体を取り巻く主要なトピックの流れを短時間に概観できることがあげられる(収録されている日記は1997年から2004年まで)。その中には現在にまで尾を引いている問題も多くあり、いわば早回しで時代の流れを追うことができるのである。
なお現在、逢坂氏は国会を舞台に活躍されている。日記も更新されており、ホームページ上で読むことができる。→http://www5a.biglobe.ne.jp/~niseko/
氏は間違いなく全国の地方自治体にとっての「希望の星」の一人であり、今後の活躍を心からお祈りしたい。個人的には、ニセコ町の職員だった頃の逢坂氏を見てみたかったという気もするが(35歳で町長に推挙されるほどの職員って、どういう存在だったんだろう?)