自治体職員の読書ノート

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【52冊目】袰岩奈々「感じない子ども 心を扱えない大人」

『感じない子ども こころを扱えない大人』 |集英社新書

本書は、主に親子のかかわりをテーマに、「心」の扱い方について書いた本である。 著者は現役のカウンセラーである。そのため、ひとつひとつの指摘が具体的な経験やそこから生まれた知見に基づいており、非常に説得力がある。特に、子どもに対する親の言葉の陰にある親自身の気持ちの捉え方など、子育ての経験者ならなるほどとうなずく点が多い。

私にも小さい子どもがいるが、子どもに対する親の接し方というのは一種独特である。職場等と決定的に違うのは、心理的な距離感が短い分、生の気持ちや感情がそのまま言葉に出てしまいやすい点だ。特に、自分が聞かれたくないと無意識に感じていることを子どもに聞かれた時など、ついついつっけんどんに答えてしまったり、「何でそんなことを聞くの?」などと言ってしまう。

その裏にある親自身の気持ちを、本書は著者自身の体験などを踏まえて的確に描き出し、ついつい見落としがちな親子関係の落とし穴を指摘してくれる。

よく言われることではあるが、子どもというのはある意味、親の鏡のようなところがある。それは単に「似ている」ということではなく、子どもの言動や子どもに対する自分の言動そのものが、親自身の心理や性格などをくっきりと描き出してしまうのである。そのことを自覚するだけでも、親子のかかわりの質は相当に変わってくるように思う。もっとも、言うは易しであり、実践こそが難しいのは分かっているのだが。