自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【42冊目】成田頼明監修「指定管理者制度のすべて 制度詳解と実務の手引」

指定管理者制度のすべて―制度詳解と実務の手引

指定管理者制度のすべて―制度詳解と実務の手引

指定管理者制度といえば多くの自治体関係者にとって近年の重要テーマのひとつであるが、本書は、その制度設計に携わった人々による解説書である。

冒頭で指定管理者制度に至る「公の施設」に関する制度の流れが紹介された後、指定管理者制度の制度趣旨と内容についてのコンパクトな解説がある。しかし、本書の大半を占めるのが、その後に続くQ&Aである。監修者によれば、実際に各自治体から寄せられた質問とその回答をもとに構成したということであるが、けっこう具体的で分かりやすい。

立案者サイドからの解説であるため、指定管理者制度の課題や問題点についてはほとんど触れられていない。また、この地方分権の時代にいまさら国にお伺いをたて、その「回答」をありがたがるのもどうかと思う。しかし、そうはいってもやはり制度設計者の考え方には勉強になる点が多く、基本的な考え方を知る上では重要である。

巻末には指定管理者制度に関連する法令や国の通知集がまとめられている。Q&A部分も含めて、通読するというよりは傍らに置いて必要な時に辞書的に使うのに向いた本かもしれない。