自治体職員の読書ノート

読むために書くのか、書くために読むのか。

【36冊目】我妻榮「民法案内(1) 私法の道しるべ」

民法案内 1 私法の道しるべ

民法案内 1 私法の道しるべ

民法学の巨星、我妻榮氏が、法律をこれから学ぼうとする学生に向けて記した民法入門の書。一連の「民法案内」シリーズの導入であり、民法のみならず法律全般の基礎や勉強法についての説明がなされている。

第1章は「法律は暗記ではなく理解しなければならない」というテーマから始まる。しかし、我妻教授はこれを大上段から押し付けるのではなく、その理由を、文字通り学生たちが「理解」できるように、実に懇切丁寧に噛み砕いて説明している。

このスタンスは、法律、特に私法についての基礎を説明していく後章においても変わらない。基礎的な部分ほど説明しようとすると難解ということが多い。しかし本書では、その難解さに正面から取り組み、しかもこれから法律を学ぼうとする学生に照準を合わせてさまざまな具体例をあげながら分かりやすく説明し、その奥に広がる法律学の世界を展望させてくれる。

なお附録として「私の勉強方法」と題し、我妻氏自身の学生時代の勉強法についてユーモラスに記述した短文がある。学問に対する姿勢をみずからと引き比べると恥じるばかりである。また、大正時代のエリート学生の生活や意識を窺うこともでき、なかなか面白く読むことができた。