自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【32冊目】安部譲二・柿崎正澄「RAINBOW 二舎六房の七人」1〜13巻

RAINBOW 1―二舎六房の七人 (ヤングサンデーコミックス)

戦後間もない時代、特別少年院で顔を会わせた7人の少年たちの行く末を描いている。

昭和30年代といえば映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などで最近人気が高いが、この漫画は、いわばその時代のダークサイドを扱っているといえる。貧しい時代ゆえの悲劇、差別、暴力が、本書では遠慮会釈なく主人公たちを襲う。漫画だからといって安易なハッピーエンドはない。しかしただ非情なバイオレンス漫画でもない。ここにあるのはまさしく「現実」の重みと厳しさであり、それゆえに少年たちのひたむきさ、友情への献身が救いとして光る。

もうひとつ映画をあげれば、少年院時代の復讐という点、「スリーパーズ」という映画に似ていなくもない。しかし、この漫画のほうがストーリーとしてははるかに複雑かつ上質である。原作もすばらしいが、画がまたベストマッチ。13巻続いて全く落ちないテンションも見事である。 ちなみに現在ヤングサンデーで連載中。目の離せない漫画がまたひとつ増えてしまった。