自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【15冊目】小坂 紀一郎「一番やさしい自治体財政の本」

一番やさしい自治体財政の本

一番やさしい自治体財政の本

「一番やさしい」(あるいは「よく分かる」「サルでも分かる」)というタイトルがついている本は多いが、残念ながら、「実際には良く分からない」か「分かるけど情報が圧倒的に足りない」というシロモノが大半を占めるのが現状である。

しかし本書は、グラフや図を多様しつつ、平易な語り口で、きわめて明快に自治体財政のイロハから説き起こしている。ややこしい自治体財政の構造と問題点をこれだけ体系的かつ分かりやすく記述した本は珍しいように思う。かといって情報が足りないわけではなく、重要なパートについてはかなり細かい具体的な知識まで網羅されている。

財政プロパーの職員にはかなり物足りないだろうが、それ以外の職場の職員なら、入口としてはこれで十分である。自治体財政に関する格好の入門書と評してよいと思う。