【2冊目】阿部昌樹「ローカルな法秩序」
- 作者: 阿部昌樹
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2002/01
- メディア: 単行本
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法律の本にも2種類あって、ひとつは個別の法律について解説した本。「憲法」「民法」などのタイトルなのですぐ分かる。もうひとつは「法律って何?」という問題についての本で、法社会学、法哲学などと位置づけられることもある。本書は後者にあたり、社会学的なアプローチで「法」の存在意義に迫っている。
専門書なので難しい部分もあるが、実際に起きた事例に即して具体的に論じられているので、「法の道具化」という基本的なロジックは非常に明瞭に伝わってくる。また、それを通じて昨今のいわゆる住民運動のしたたかさや積極性、「反対のための反対」でない建設的な方向性(そうではないものも依然多いが)を知ることもできる。
いずれも、私も含めて多くの自治体職員が見過ごしがちな観点だと思う。住民運動論としても非常にすぐれており、法律や行政実務の基礎的な知識さえあれば、自治体職員にとって得るものの多い本と言ってよいだろう。