自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

芸術・芸能・スポーツ

【2804冊目】ブリッタ・ベンケ『オキーフ』

オキーフ NBS-J (ニューベーシック・シリーズ)作者:ブリッタ・ベンケタッシェン・ジャパンAmazon 本書はアメリカの画家ジョージア・オキーフのハンディ・サイズの画集です。「ニュー・ベーシック・アート・シリーズ」というシリーズの一冊で、どうやら版元は…

【2796冊目】砥上裕將『線は、僕を描く』

線は、僕を描く作者:砥上裕將講談社Amazon ひょんなことから水墨画の世界に飛び込んだ大学生、青山霜介の成長を描いた一冊です。水墨画の奥深さをめぐる絶妙のアート小説で、両親を事故で亡くした主人公の精神の回復の物語で、水墨画の賞にまつわるバトル小…

【2790冊目】秋田麻早子『絵を見る技術』

絵を見る技術 名画の構造を読み解く作者:秋田麻早子朝日出版社Amazon 「君は見ているけど、観察していないんだ、ワトソン君」シャーロック・ホームズの名台詞が冒頭に掲げられているのは、ダテではない。本書が解説しているのは、絵を「観察するように見る」…

【2738冊目】二宮敦人『最後の秘境 東京藝大』

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)作者:敦人, 二宮新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン60冊目。いや〜、これは面白い本でした。マンガ『のだめカンタービレ』や『ブルーピリオド』でなんとなく知っていたつもり…

【2692冊目】齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』

ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待 (岩波科学ライブラリー)作者:齋藤 亜矢岩波書店Amazon 岩波化学ライブラリーの一冊。100ページほどの薄い本ですが、内容は充実しています。「絵を描く」ことは、ヒトであれば幼児のころから当たり前のようにや…

【2672冊目】平安寿子『こっちへお入り』

こっちへお入り (祥伝社文庫)作者:平 安寿子祥伝社Amazon 落語にハマっていくOLさんのお話です。小説としては、いささかとりとめのない印象。使えない新人の話、家族の揉め事の話、友人の失恋の話など、トピックとしては色々出てきますが、どれもあまり深ま…

【2626冊目】原田マハ『ゴッホのあしあと』

ゴッホのあしあと 日本に憧れ続けた画家の生涯 (幻冬舎新書)作者:原田 マハ幻冬舎Amazon 原田マハの『たゆたえども沈まず』は、良い小説だった。一人の人間としてのゴッホの姿を切々と描いていた。林忠正という実在の日本人をフィーチャーし、その功績を再評…

【2615冊目】岩城宏之『オーケストラの職人たち』

オーケストラの職人たち (文春文庫)作者:岩城 宏之文藝春秋Amazon 岩城宏之のエッセイは面白い。本職が指揮者とは信じられないレベルです。日本エッセイスト・クラブ賞まで受賞しているくらいですからね。本書はその岩城マエストロが、オーケストラの「裏方…

【2613冊目】『蕗谷虹児』

蕗谷虹児 (らんぷの本)作者:蕗谷 虹児河出書房新社Amazon この人をご存知でしょうか。蕗谷虹児と書いて、フキヤコージと読みます。大正から昭和にかけて人気を博した画家であり、詩人です。少女のはかない美しさから、大人の女性の妖艶な美まで、とにかく女…

【2584冊目】ジェームズ・キャメロン他『SF映画術』

SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座作者:ジェームズ・キャメロンDU BOOKSAmazon SF好き、映画好きにはたまらん一冊だ。なにしろジェームズ・キャメロンが、スピルバーグやルーカスからノーランまで、名だた…

【2555冊目】原田マハ『たゆたえども沈まず』

たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫) 作者:原田マハ 発売日: 2020/04/08 メディア: Kindle版 「いちばん描きたいものをあえて中心に描かずに、その周辺を描くことで、見る者に連想を促し、主題を浮かび上がらせる」 本書の主人公フィンセント・ファン・ゴッホが…

【2553冊目】マイケル・ルイス『マネーボール』

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男 作者:マイケル・ルイス 発売日: 2004/03/18 メディア: 単行本 野球を題材にしたビジネス書としても有名な一冊。本書の「主人公」ビリー・ビーンらは、常識に囚われないこと、データをもとに合理的に考察し、実践に…

【2552冊目】山口つばさ『ブルーピリオド』

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス) 作者:山口つばさ 発売日: 2017/12/22 メディア: Kindle版 マンガ大賞を受賞した話題作というのは知っていたが、読んでみたら予想以上。「美術」をテーマにした学生群像劇という点では『のだめカンタービレ』…

【2548冊目】真魚八重子『バッドエンドの誘惑』

バッドエンドの誘惑~なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか~ (映画秘宝セレクション) 作者:真魚 八重子 発売日: 2017/03/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) う〜ん。残念ながら、私にはちょっと合わなかった。タイトルはけっこうツボだったんだけどねえ。 …

【2547冊‌目】‌ク‌リ‌ス‌チャ‌ン・‌メ‌ル‌ラ‌ン‌『オー‌ケ‌ス‌ト‌ラ』‌

‌ オーケストラー―知りたかったことのすべて 作者:クリスチャン・メルラン 発売日: 2020/02/19 メディア: 単行本 本‌文‌500‌ペー‌ジ‌以‌上。‌索‌引‌だ‌け‌で‌30‌ペー‌ジ‌以‌上。‌お‌そ‌る‌べ‌き‌ボ‌リュー‌ム‌に‌最‌初‌は‌ビ‌ビ‌る‌が、‌読‌み‌始‌め‌る‌と‌…

【2542冊目】サマセット・モーム『月と六ペンス』

月と六ペンス (新潮文庫)作者:サマセット モーム発売日: 2014/03/28メディア: 文庫 大傑作である。久しぶりに読み返したが、あらためてものすごい作品だと思う。人間の真実そのものが、この一冊にあますところなく描かれている。ロンドンの平凡な株式仲買人…

【2541冊目】宮下奈都『羊と鋼の森』

羊と鋼の森 (文春文庫)作者:宮下 奈都発売日: 2018/02/09メディア: Kindle版 映画化もされたベストセラーなので、内容はご存知の方が多いだろう。見習い調律師の成長を描いた作品なのだが、さほど抵抗なくするする読める。主人公の外村が、いろいろ悩みや葛…

【2529冊目】島尾新『水墨画入門』

水墨画入門 (岩波新書) 作者:新, 島尾 発売日: 2019/12/22 メディア: 新書 冒頭のカラー口絵に、まず息を呑む。郭熙「早春図」に牧谿「観音猿鶴図」、長谷川等伯「松林図屏風」に雪舟「冬景山水図」と、オールタイムベスト級の水墨画がずらりと並ぶ。西洋絵…

【2494冊目】マイケル・バード『ゴッホはなぜ星月夜のうねる糸杉をえがいたのか』

ゴッホはなぜ星月夜のうねる糸杉をえがいたのか 作者:マイケル・バード 発売日: 2018/06/23 メディア: 単行本 タイトルだけ見れば、ほぼ全員がゴッホの本だと思うだろう。確かにゴッホも出てくるが、それは本書に登場する68のアーティストのうちの一人にす…

【2485冊目】井村雅代『シンクロの鬼と呼ばれて』

シンクロの鬼と呼ばれて (新潮文庫) 作者:井村 雅代,松井 久子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/10/28 メディア: 文庫 日本で6大会、中国で2大会、そしてふたたび日本で1大会。著者は、なんと9回のオリンピックでシンクロ選手にメダルを取らせてき…

【2474冊目】髙橋秀実『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫) 作者:高橋 秀実 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/02/28 メディア: 文庫 驚くべき一冊。これは野球の革命だ。練習は週1回。試合ではサインは出さない。エラーはあって当たり前。それより勢…

【本以外】「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました

練馬区立美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました。 『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』などブラックでシュールな絵本で知られるエドワード・ゴーリーの原画、挿絵、ポスターなどおよそ350点が集められ…

【2415冊目】ロバート・キャパ『ちょっとピンぼけ』

ちょっとピンぼけ (文春文庫) 作者: ロバート・キャパ,川添浩史,井上清一 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1979/05 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (58件) を見る 写真家ロバート・キャパが第二次世界大戦の従軍カメラマ…

【2410冊目】読売新聞社編『建築巨人 伊東忠太』

建築巨人 伊東忠太 作者: 読売新聞,読売新聞社 出版社/メーカー: 読売新聞 発売日: 1993/06 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 著者名はなく「読売新聞社編」とのみ書かれているが、その割になかなか攻めた造本設計になっている。建築家の…

【2405冊目】長谷川祐子『「なぜ?」から始める現代アート』

「なぜ?」から始める現代アート (NHK出版新書) 作者: 長谷川祐子 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2011/11/08 メディア: 新書 クリック: 8回 この商品を含むブログ (13件) を見る 東京都現代美術館チーフキュレーターによる、現代アート入門書。現代アート…

【2402冊目】山田真一『エル・システマ』

エル・システマ―音楽で貧困を救う南米ベネズエラの社会政策 作者: 山田真一 出版社/メーカー: 教育評論社 発売日: 2008/12/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (12件) を見る ベネズエラに、とんでもない音楽教室がある。参…

【本以外】メスキータ展に行ってきました

開催終了まであと1週間となったメスキータ展を見に、東京ステーションギャラリーに行ってきました。 気になりつつなかなか足が向かなかった展覧会ですが、行ってよかったです。というか、もっと早く行けば良かった! 少なくとも夏休み前に行くべきでしたね…

【2274冊目】大高保二郎『ベラスケス』

ベラスケス 宮廷のなかの革命者 (岩波新書) 作者: 大高保二郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/05/23 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 王室画家としてフェリペ4世に仕えつつ、数々の傑作をものしたベラスケスの生涯と作品をコンパクトに…

【2246冊目】山本兼一『いっしん虎徹』

いっしん虎徹 (文春文庫) 作者: 山本兼一 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2009/10/09 メディア: 文庫 クリック: 2回 この商品を含むブログ (3件) を見る 甲冑鍛冶から40代で刀鍛冶に転向した長曾祢興里こと「虎徹」。後に伝説の刀鍛冶として歴史に名を…

【2173冊目】安田登『異界を旅する能』

異界を旅する能 ワキという存在 (ちくま文庫) 作者: 安田登 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2011/06/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (12件) を見る 能には「シテ」と「ワキ」がある。夢幻能では、「シテ」は幽霊など…